ノンカイにあるワットケークはタイの宗教観の集大成

インドで仏教は現在ではほとんど信仰されていません,一方, タイではヒンズー教の神様と仏教が同時に信仰されています。

タイとラオスの国境,ノーンカイにあるワットケークの彫像群は,仏教とヒンズー教,イスラム教が融合したテーマパークのようで,タイの宗教観を知るには最適な場所です。

■紀元前後にインドで仏教が普及した理由

仏教の教義では,解脱による開放を目指しており,この世のものに対する執着から離れ,現世の欲を否定する宗教です。

そのため,仏教の教義を国民の道徳観念にすると,被支配者にとっては,国民統治がしやすくなるために,仏教を国家宗教として保護しました。

仏教以前のバラモン教では,最上位であるバラモンの権威が強すぎ,国を統治するのに支障があったとも考えられます。

仏教は全ての人間は平等であるという考えなので,バラモン教で差別を受けていた下位カーストの民衆にとっても.差別を回避する手段として仏教は信仰し易く,浸透していきました。

■インドで仏教が衰退した5つの理由

1-仏教は民衆に密着した葬祭などの通貨儀礼がなかった

元々,インドで仏教が衰退した理由のひとつに,インドの仏教では祈禱・祈願は行いましたが,葬式などの通貨儀礼等は行いませんでしたそのため,民衆にとっては,仏教が生活に身近な存在とは感じにくかったと思われます。

2-仏教の変容

仏教は5〜6世紀ころから民衆への教義を行わず教理の研究に重点をおくような神秘主義の秘密仏教のような性格が強くなってきました。
そのため,一般民衆からは離れて行きまました。そして,仏教徒が増加しにくいという状況になっていきました。

3-保護王朝の消滅と有力信徒の没落

紀元前3世紀から13世紀までの間,仏教は1000年ほど国家宗教の位置を占めました。

紀元前数世紀に,仏教を国教として保護していた王朝が滅亡してから仏教が衰退しはじめました。そして,生活により密着したバラモン教と土着の信仰を融合したヒンズー教が台頭しました。

更に,仏教徒の主な信者は商人層だったのですが,ローマ帝国の滅亡により,インドで交易により富を得ていた商人層が没落していき,仏教の信者がヒンズー教に吸収されていき仏教の衰退を早めました。

4-ヒンズー教の拡大

ヒンドゥー教は、バラモン教と各地の民俗信仰が融合して,インド人の生活に密着した宗教として成立しました。
仏教は,キリスト教がユダヤ教から派生したように,バラモン教から派生した宗教です,しかし,仏教は階層制度を否定したので,バラモン教とは敵対していた構図があったものと思われます。
そのためか,ヒンドゥー教は釈迦をビィシュヌ神の9番目の化身として受け入れた割には,仏教徒をヒンドゥ―教徒に改宗させる時には最下層(不可触民)に落としました。
しかしながら、仏教は民衆からの支持を失い,国からの保護もなくなってしまい,有力支持層は没落してしまったので,ヒンドゥー教に吸収されていきました。

5-イスラム教の侵攻

イスラム教が北部から侵攻して,偶像崇拝を認めないイスラム教は仏教寺院を破壊,仏教徒の迫害を行いました。そして,インドではイスラム王朝が13世紀~16世紀の間に勃興しました。

ヒンズ―教に対しては,当時既に8割以上のインド人がヒンズー教徒で,支配していたインドでのイスラム教徒は少数派だったので,イスラム教がインドに浸透する事はありませんでした。

–パキスタンがイスラム教である理由

現在のパキスタンは,隣国がイスラム系の国だったので,早くからイスラムの影響を受けており,人口が少なく,イスラム人口が多く,イスラムの方が優勢だった地域です。

バングラディシュがイスラム教である理由

バングラディシュの地域は,ヒンズー系王朝に追われて,仏教が消滅する最後の段階で全インドから仏教徒が集計した地域です。

仏教徒はヒンズー教に改宗すると,最下層(不可触民)に落とされてしまいます。その後インドにイスラム系の王朝が成立したので,差別から逃れるために,多くの人がイスラム教に改宗したため,バングラデシュではイスラム教が多数派を占めるようになりました。

■タイで仏教が生き残った理由

タイでは,インドで仏教が衰退した徹を踏まずに,仏教が機能しているのは,ヒンズー教が元々のタイ土着の信仰ではなく,タイ国内でヒンズー教と上座部仏教,元々タイにある土着の精霊信仰がうまく補完関係にあって共存しているおかげだと思われます。

タイの日常生活において,家々や建物の前には小さな祠が設置されており,家や土地を守るよう精霊に祈るタイ土着の精霊信仰があり,祈願や祈祷にはヒンズー教の神さま,そして,仏教では自身の罪を浄化し,自分が来世で救われるために,お寺でタンブン(徳を積むこと)をします。

日本も,祈願・祈祷は神社に行きます。日本での仏教は葬式仏教と揶揄する人もいるくらい形骸化していますが,冠婚葬祭には仏教が残っており,仏教と神道が共存しています。

ワットケークは仏教とヒンズー教とイスラム教の融合

建立したのはルアンプー・ブンルア・スリーラットという人物で,ラオス側には「ブッダパーク」というワットケークより少し規模が小さい兄弟分の彫像群があります。彫像のイメージは瞑想で得たものとも地下世界で見た来たものを具現化したものだとも言われています。

バンコクに居るとヒンズー教の神様はあちこちに祀られています。ヒンズー教の神様は,仏教の仏像と混合して同時に信仰されているわけではなく,通常は仏教とヒンズー教の神様は,別々な場所で信仰されています。

ところがノンカイにあるワットケーク(サラケウクゥー)では仏教とヒンズー教の神々,イスラム教が混合しています。

仏教(風)↑

ヒンズー教(風)↑

イスラム教(風)↑

タイ全体の宗教観を具現化したような彫像群になっています。タイの宗教観を体感する意味で,ワットケークとブッダパーク(ラオス側)はお勧めの観光スポットです。

ワットケークの場所

ブッダパークの場所


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