■お葬式に仏教が関わり始めたのは平安時代から

もともと仏教では死者儀礼を行っていません、祖先崇拝を説く教えではないからで、支配者層(皇族・貴族)が仏教に期待したのは、世間の安泰と除災招福です。
仏教が葬式に関わるようになったのは,平安時代以降(794年 – 1185年)で、それまでは神官が葬式を執り行い、天皇など非常に身分の高い方は,神官による儀式で葬られ、それ以下の貴族・一般庶民は,死体を捨てられて終わりになっていました。

平安期に,死者が浮かばれないと僧侶が供養を説くようになり、仏教が葬式に関わるようになります。

平安期から中世(鎌倉・室町)にかけてが、死者儀礼に仏教が関わり始めた過渡期のようです。この時代では有力な一族が寄進をしてお寺の檀家になるような形でしたが、力のある武士などでは葬儀を出したようですが、一般庶民は相変わらず,そのまま葬られてお終いだったようです。

江戸時代に檀家制度が始まり、この時代から檀家寺が葬式により深く関わるようになったようです。

江戸時代の葬儀ですが、この時代は基本的に土葬でした。経済的に恵まれている人は 墓標を立てましたが、多くの場合は土を小高くまるく盛り上げた簡単な墓に卒塔婆(そとば)を立てただけのものでした。

■檀家制度による日本式葬祭の普及

-日本の檀家制度は江戸期から
檀家制度とは、江戸時代(1603-1868),1612年にキリスト教禁止令を出してから,キリスト教を排除する目的で「すべての人は寺院に所属(檀家)となり、寺院から寺請証文を受け取ること」を強要した制度です。

事実上国民全員が仏教徒となることを義務付けるものであり,寺請を受けない(受けられない)とはキリスト教のレッテルを貼られたり、社会権利の一切を否定されることに繋がりました。

-お寺は今でいう市役所の役割
檀家は特定の寺院に所属することでお布施を払い、葬儀や法要の一切をおこなってもらうことになります。

寺院はお布施で潤うことになりますが、同時に檀家の管理を請け負う責任を持たされることになりました。
寺院の管理する檀家台帳が,現在の戸籍や住民票と同等の意味を持つことになりました。
転居で別の土地に引っ越す場合には、住民票の移動と同じような形で、寺院から移動手続きの書類をもらい,転居先の寺院に提出とともに受け入れをお願いしました。

■一般人への墓石の普及は江戸から

江戸時代になると檀家制度が確立し、裕福な庶民まで墓石を建立するようになりました。はじめ墓石は個人や夫婦の為のものでしたが、明治中期以降は,家制度の確立により、家単位で建立される事になりました。

■日本式お葬式の形式はここ150年で確立されたもの

明治5年に法律によって自葬祭が禁止されました。これにより、葬儀は全て神主や僧侶によって行われることになったのです。

一般に普及している日本のお葬式の形式,墓石の使用等は,明治中期から大正時代に確立されたものです。

日本の仏教は,元々国民統治の為に導入され制度化され,キリスト教の布教を防ぐために檀家制度ができ,国民に仏教が義務化されました。お寺も江戸時代では,今でいう役所と国民監視の役目を持っていました。

お寺が葬祭に深くかかわり制度化されて,庶民が行う現代の日本式葬祭になったのは,明治時代(1868年 – 1912年)から大正時代(1912年 – 1926年)に掛けてのここ150年ほどで,歴史が浅いものです。

最近では永代供養にする人が増えて来ています。永代供養にすると,安いものだと数十万で後々費用が掛からないものもあります。

お年寄りの方は先祖のためだと,不透明な料金体系で高額なお葬式代や戒名料や墓石代を請求されても,おとなしく支払う人が多いですが,お寺の方では,お寺の檀家減少によるお寺の経済的事情で高額な請求をする事が多くあります。

少子高齢化の日本ではお墓を維持していくのは難しくなっていきます。日本のお寺とお葬式の歴史を知れば,それほど先祖の為などとお葬式やお墓に高額な費用を掛ける必要はないでしょう。

 


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