■タイの建物の前には祠(ほこら)がある

‐タイの祠=サーンプラプームと精霊信仰
タイの建物を通ると敷地の片隅に一本足の祠が祀られています。タイ語でサーンプラプームと
呼ばれるもので,その土地の精霊を祀っているものです。
タイでは精霊信仰が残っており,どの土地でも精霊がいると信じられています。精霊の機嫌を損ねると悪い事がおこるのでタイの人達は熱心に捧げものをしたり,祈祷をしています。地方にいけばいくほど精霊信仰は強く残っており熱心に信仰しています。

■タイは精霊信仰と仏教が根付いている国

‐仏教は共存しやすい宗教
タイでは仏教が広まる13世紀以前には土着の精霊信仰がタイ人の精神的支柱として存在していました。タイでは仏教が国教として広まっても,土着の精霊信仰と融合して残っています。これは仏教が元々修行をして涅槃に至るのが仏教であって,祈願や願い事を叶えるという役割は元々なかった事に起因していると考えられます。日本も祈願やお祓いには神社に行くようにタイでは神社の代わりに土着の精霊信仰が残ったと考えられます。また,タイはインドのバラモン教も同時に部分的に取り入れられ,トリムルティやガネーシャの像などに恋愛やお金の祈願をしています。

‐タイのニックネームは精霊信仰から
タイの人達は本名で呼び合う事はしません,ニックネームで呼び合います。何故かというと,タイでは誕生して3日間は精霊の子供で,生後4日後に人間の子供になると信じられており,生まれてすぐに死んでしまう子は悪い精霊がとり憑いて連れ去ってしまったと考えられています。そのためニックネームに動物や悪い名前を付けるのは,その子供が悪い精霊に連れ去られないように欺いて子供を守るために続いている精霊信仰の風習です。

■日本のカミとタイの精霊信仰

‐日本古代のカミは西洋の神とは違いタイに類似
西洋の神は超人的,人格的な性質を持っていますが,日本古代のカミは山・川・草・木などをそのまま崇拝するのではなく,霊魂・霊鬼・精霊・霊威などの働きで普通以上の徳や畏れをもつものをカミとして崇拝しました。あらゆる自然物に宿る神霊を崇拝する精霊信仰でした。日本の神道は精霊信仰を融合して成立しています。映画でも山の神様などや川の神様などという存在が頻繁に描かれているので,むしろ自然には何かが宿っているのではないかという感覚があります。そのため,日本人がタイに行ってもなんとなく馴染む感覚があります,またはタイの祠を見て何かの郷愁を感じることがあります。

■現代に残っているタイの儀式と日本の儀式

-日本の土地神様への儀式は形骸化しているが,タイは昔のままの精霊信仰
日本でも土地神様への儀式があります。タイの祠を見るとなんとなく,日本の神社や地方に残っている土地神や精霊などを祀った祠が思い出されます。日本の都会では形骸化されてしまった信仰がタイでは都市部でも未だに残っています。


タイでは建物を建てると祠・氏神社・廟を建てて僧侶による祈祷をします。祠は土地の精霊を祀るもので本来はその祠を建てた家族・親族だけが祈願するものです。大規模な建物ではたいてい廟を建てています,ヒンドゥー教の神々を祀り,建立した一族だけでなく一般の人も地鎮,交通安全,金運などを祈願します。大企業の建物や大きな建物では廟のみのものも見受けられますが,民家や個人経営の会社では廟と祠両方または祠のみを建てるのが一般的なようです。


日本の民家では家を建てる前に神社から神主が派遣されて工事の無事を祈願する地鎮式が行われます。

地鎮式↑

-定礎石

規模の大きなビルやマンションのような建築物の場合はコンクリートの基礎工事が終了すると定礎式を行います。定礎とは元々建物の基準となる礎の位置を定める事をさします。定礎式は工事の安全祈願・地鎮の儀式です。定礎石は建物の一部に組み込まれたり,近くに碑が建立されたりしています。そして定礎石の中には定礎箱が入っており、定礎箱には氏神様への御礼,その建物の建築図面,定礎式の行われた日の新聞,関係者の名簿などが入っています。

また,日本のデパート等では商売や安全祈願のための神社祠が建っています。

同じ土地神様(精霊)への敬意でも日本の場合は儀式・形式的で建物が完成した後,神様は意識することはありません。タイのように常に祈祷をして精霊を信仰しているのを頻繁に見ると,日本の田舎などのその土地の神様を祀った祠を連想させられ郷愁を誘います。


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