ミャンマーがしばらく発展しそうにない5つの理由

ミャンマー
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ミャンマーが発展しない五つの理由

通常発展途上国に外国企業が参入するには,労働集約型産業→高付加価値産業→サービス業へと段階的に参入するのですが,ミャンマーへは全ての産業分野が一斉に進出しようとしているようです。
通常の段階を経ないので,発展という点においては未知数なのですが,ミャンマーがしばらく発展しそうにないのは大きく5つの理由があると考えられます。

①インフラ整備が脆弱

製造業がミャンマーに進出するにあたり,工業団地によっては土地はリースできるけれども,電気設備,水などのインフラは自前でやらなければならなかったりします。更に現在の大きな進出阻害要因のひとつに電気があります,市民生活を優先させるために工業団地では計画停電が敷かれているうえ実際停電も多く電力供給が安定していません。ミャンマーの電気供給の多くは水力発電で北部にありますが,発電所の多くが中国資本で整備されたため発電した電力の大半は中国に売電されてしまうそうです。更にミャンマー政府機関が運営する電力事業は料金設定が低く,電気を作るほど赤字になる仕組みになっているようです。(その点日本の総括原価方式は必ず電力会社が儲かるようになっています。)ミャンマーは天然ガスの産出も豊富なのですが,その7割がタイ向けに輸出されています,未だインフラが未整備の為天然ガスは電力にはほとんど使われていないようです。今後,ミャンマーにガス火力発電ができるようになると,今後タイの方で困った事になるかもしれません。実はタイの電力はミャンマーの天然ガス頼みという点があるからです。それを見越してミャンマーで発電した電気をタイに売るという計画もあるようです。

②土地の値上がりと家賃の高騰

2011年3月に誕生した新政権下で民主化が急激に進み,物件が増えていない中でいきなり民主化して外国に開放したので,ホテル・オフィス・住宅の賃料が軒並み値上がりしました。オフィス賃料は香港・シンガポール並みに高騰しているそうです。

2011年3月以前,ミャンマーブームの前2010年にヤンゴンに行った事がありますが,その当時でロケーションのいい所は軒並み中華系に買い占められていました。更にあちこちで建築中の建物を見かけました,需要と供給の関係以前に元々市場開放を睨んで仕掛けられていたのではないのかと勘ぐるところです。元々,民主化前に中国とインドは欧米の経済制裁とは関係なしにミャンマーに投資を継続していました。
麻薬取引のお金がマネーロンダリングの為に不動産に流れ込んで不動産の高騰を招いたという話もあります。
考えてみればミャンマー政府の強い規制があればこれほど土地や家賃が値上がりすることもなく,家賃の高騰が参入障壁にならずにもっと外国投資がスムーズにいくハズです。利権が絡んでいるとしか思えない高騰っぷりです。大体ババを掴まされるのは日本ですね。
ただ,2015年現時点では不動産不況になっているようで,建設会社やデベロッパーの業界では資金の回転に行き詰まっていて、建設中のビルも途中で工事がストップしているのがよく見られるようです。

③ミャンマー政府が実権を持たない地域がある

タイやインドネシアでは軍事政権時代に国は発展しました。しかし,ミャンマーは軍政の押さえつけが無いとモン族やシャン族の分離独立派が分離独立を主張するため,元々民主化すると分裂するのではないのではないかと言われています。今回,停戦を合意した地域でも自治権拡大,連邦制への移行など実際は民族地域の権利が拡大した独立に近い形で妥協しています。これは,タイのように王様を中心とした結びつきもなく,中国のような強権的な独裁でもありません。また,ミャンマー国軍とコーカン族武装勢力との戦闘のように現在戦闘中の地域もあり,なにかきっかけがあれば再び他の民族間で分裂する可能性があります。
実際ミャンマー国内には,ミャンマー人であるにも関わらず,ミャンマー語をしゃべらない人も多く存在します。

④法律や政策がころころ変わり安定していない

民主化したと言っても法整備はまだまだで,法律の内容が変更されたり,突然に決まったり,決まっていたことが覆されたりと,法律が施行されて安定するまでにまだまだ時間が掛かりそうです。

例1:2015年5月27日ヤンゴン管区政府
酒類を出す店はすべて11時に閉店に,夜のお店(カラオケ、KTV、バー、レストラン、ディスコ)には多大な影響がありそうです。
例2:6月1日から、国内の商取引のすべては外貨を使用してはならず、すべてチャット建てになりました。今まではドルの新札のみを受け入れるというところも多かったのですが,ホテル、航空券、レストラン、海上運賃などすべてチャット建てになります。

⑤ミャンマーの民主化と平行してストが増えている

カンボジアでもそうですが,物価が上昇していることもあって,賃金に対して不満が高まっています軍政や中国のように強権的に押さえつけている間は不平不満は抑えられていますが,民主化が進むと権利意識も高くなるのでストも頻発しているようです。

ミャンマーの体制は軍事政権のまま

ミャンマーがタイのように発展するのは20-30年後という人もいます。
ただ日本のミャンマーへの力の入れようは尋常ではない感じがします,もしかしたら日本がダメになった時の保険の意味があるのかもしれません。ミャンマー国軍の軍事パレードでは日本の「軍艦行進曲」が盛大に流れる等、元々日本陸軍の影響が未だに残っているようです。

タイの様に自動車産業が進出してミャンマーが発展するかは微妙なところです、タイの自動車生産台数は2017年にインドネシアに抜かれる予測が出ています、自動車に関してはインドネシアの方が人口から考えても有利に見えます。

ただ自動車産業自体がこれから大きく変わる中,製造業も労働集約型からAIを使ったロボットや3Dプリンタによって自動化・効率化が進んで産業構造自体が変わるので発展途上国が今までと同じようなプロセスで発展をするのかは非常に微妙なところだと思います,逆に言えば今を逃すと発展のチャンスを逃す可能性があります。軍政が急な民主化を推し進めたのも機を逃すと発展のチャンスが無くなるからかもしれません。実質,現在のミャンマー政府は民主化とうたってはいるものの,実際の体制は温存したままで民主化したと言っているにすぎません。


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