タイの将来-4つの可能性

タイ
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タイのプミポン国王が崩御された。

2016年10月13日プミポン国王が崩御されました。ご冥福をお祈り申し上げます。正にタイの黄金期を象徴される人物でした。
国王様崩御が近いことはビザが厳しくなった事もあり,2016年7月にタイの銀行口座を閉じた時に感じた違和感,普段は物凄く混んでいる両替所スーパーリッチで両替をするときに両替する人がほとんど居なかった事でもおかしいと感じる事ができました。タイの知人の話でイギリスEU離脱の国民投票の時2016年6月には国王様が重篤だという噂が流れていました。

-精神的支柱を失ったタイ
タイ国民が楽観的だったのは最終的に国王様がなんとかしてくれるという安心感があったからだと言われています。熱烈な支持層は国王様が健在なときに様々な善行を記憶している人々が多いようですが,子供の時から国の安定としての象徴的存在を失った事はブッダを失った信徒の如くタイ国民の心に空洞ができてしまったに違いありません。家々に国王様の肖像が飾られているとこころを見てもタイ人にとっては神様的存在だったといってもおかしくないでしょう。

タイの将来が”貧富の格差”で混乱しない理由

国王様亡き後,貧富の格差によってタイが混乱すると言う記事を見かけましした。自分は他の理由での混乱はありうると思いますが,”貧富の格差”が原因でタイ社会が混乱するとは考えていません。

1.食料が豊富な国タイ
タイは年中温暖な気候で稲作は2毛作,3毛作が可能です。基本食べ物が安く働かなくとも食べていくことができます。東北部の干ばつが多い地域は例外ですがタイは自給自足ができる国です。
2.タイは元々格差社会
3.セーフティネットとしての宗教
タイは社会保障制度はそれほど充実していませんが,仏教が形骸化している日本と違いタイでは仏教が生活の一部として根ざしています。昔からお寺がコミュニティの中心であり,食べれなくなった人は出家をすればお寺が面倒を見てくれます。タンブンの文化もありタイでは食べ物をお寺に寄進している姿を見かける事が出来ます。
4.助け合う風土
日本ではコミュニテイが崩壊していっていますが,農村社会が多いタイでは人々が助け合うコミュニティが残っています,村を出てバンコクで働いていた労働者は正月等帰省する時に村に寄付をしたり寄進したりします。また家族間の繋がりも未だに強い家族も多く親戚同士で困った時には助け合います。

タイが過去に発展できた理由をまず考えてみた。

○究極の中立地帯だったタイ
-タイの工業化と日本の工業化の違い

日本の工業化は明治以来太平洋戦争終結までは先進国からの支配を受けない為の追いつけ追い越せの自力で国力を付ける為の工業化でした。戦後は冷戦時代に入り共産化されないために日本に国力を付けさせる為のアメリカの為替操作や朝鮮戦争・ベトナム戦争の物資供給国としての工業の発展がありました。
タイの工業化は日本の事情とは違いカンボジアの内戦,ベトナム戦争,ミャンマーの少数民族独立運動等による物資供給国としての発展がありました。自動車関連がスムーズに進出できたのもベトナム戦争時のアメリカによるインフラ整備によるところが大きく国力を自力で高めていくというよりは元々外部の企業の力に依存した他力本願のところがありました。外資とタイの地場企業が組んで輸出に成功したタイの企業は多くあります。その過程でタイ人の経済力が底上げされてきました。
外資に頼った経済発展だったためタイでは地場産業というものがほとんど発展していません。独自の技術力もありません。タイのチャイナタウンには偽物時計の工場など偽物商品を良く見かけます。表は本物と見まごうほどに良くできていますが中身がチープなのですぐ壊れます。よくあるタイのモノづくりです。

タイの将来不安要素を考えてみる

日本は5~10年後には50パーセントの仕事が45年後には90パーセントの仕事が失くなると言われています。タイもその影響を免れる事はできないでしょう。

-タイの上層部不安定化の可能性
王室批判は禁止されているのでここでは具体的には割愛しますが,もしも,今迄とは違い王室が政治権力を志向した場合はネパールの様な事態になるかもしれません。また王室後継者を別々に支持するに軍の分裂もありえます。

-国が分裂する可能性
チェンマイを中心とする北部地域,東北部を中心とするイサーン地域,南部を中心とする地域に分裂する可能性はありえます。特に南部ではイスラム教徒の独立運動が盛んです。

-中国が戦争状態になりタイに影響を及ぼす可能性
中国はカンボジア,ラオスに関節的に支配していると言ってもおかしくないほど影響力を持っています。当然近年中国化が進んでいるタイにも影響が及びます。

中国「国防動員法」の影響
更に中国には2010年から施行された特殊な法律「国防動員法」があります。
”中国国内で戦争や武力衝突が発生した際に、金融機関や陸海空の交通輸送手段、港湾施設、報道やインターネット、医療機関、郵便、建設、貿易、食糧などの民間資源をすべて政府の管理下に置くことができるという国防動員法がある。これは中華人民共和国で2010年7月1日から施行された法律である。
内容を簡単に言えば、中国国内で有事(すなわち戦争や事変、武力衝突、大規模な自然災害など)が発生した時に、全国人民代表大会常務委員会(中国の国会)の決定のもと、動員令が発令されるというものだ。だが、あくまでも国内有事の場合の法律と言い訳するが、実際は対外戦争を想定している。戦争は国内有事ではないだろう。バカでもわかる。また、国防義務の対象者は、18歳~60歳の男性、18歳~55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となり、国務院、中央軍事委員会が動員工作を指導するという。中央軍事委員会が動員指導するということは在日中国人約60万人のうち成人中国人はすべて軍属、戦闘員ということになる。つまり、日本にいながらにして破壊活動や軍事活動ができる軍属、戦闘員となるということだ。”
中韓国防動員法にご注意”より抜粋
これはもちろんタイにも当てはまる事で中国が有事の際は非常に危険な事になる可能性もあります,既にカンボジア,ラオスは経済的に中国の影響下にあり中国が東南アジアで領土拡大政策をそのまま推し進めればタイもどうなるかはわかりません。特に自給率が高く食料生産が豊富なタイは狙われる可能性もあります。

-枢密院が不安定化する可能性
実際には王室よりも枢密院がタイの政治,方向性を決定している様ですが,実際プミポン国王が亡くなられても比較的安定して見えるのは,前国王と共に国を統治してきたブレム氏の存在が大きいと考えられます。今現在中心人物であるブレム氏が95歳と高齢であるので,後継の人物が不在または力不足の場合混乱する可能性があります。

タイの将来に必ず影響を及ぼす中国化

-タイは現軍事政権下で急速に中国化が進んでいるのが気になるところです。実質現在のタイは中国の様に一党独裁状態です。更に軍事,インフラ,E-コマースもこれから中国化して行きそうな勢いです。

NCPOが暫定憲法44条を発動。その驚きの中身とは一体?
【社説】中国の執行機関と化したタイ
タイ、中国潜水艦を購入 クーデター後接近際立つ
急接近する「アリババ」とタイ「プラユット政権」それぞれの思惑

-タイの財政も急速に悪化しています。
Junta spent 85 percent of country’s reserves since coup, minister calls savings ‘a burden’
13 billion baht cut to Thailand’s universal healthcare budget

タイの財政も個人の借金も増え続けており,税金も今後上がる事が見込まれます。相続税もタイでは今迄は無かったのが,導入されました。現在はある一定の富裕層への課税ですが,一度導入が決まると今後は中産階級にも及ぶことも考えられます。

現在のタイの政策
○ショッピングセンターとコンドミニアムだらけのバンコク
○弱者を追い出す政策
→路上で営業する露店,屋台街の強制撤去
○目に触れさしたくないものは排除する政策
→物乞いを路上から排除
○外国人排除または管理
→ビザを厳しく,外国人就労の規制強化
○インフラ整備の促進
○愛国政策,国民意識の高揚,タイアイディンティを喚起する政策

タイの魅力の一つであった屋台街を撤去し,きれいなショッピングモールや建物ばかりが増え,様々な人種が入り乱れたいたカオスな雰囲気が無くなってきたのは残念です。

更に最近中国化していくタイを見ていくのは正直ツライところです。

タイの将来予測

タイが中国化することがなく,中立地帯としての自由が保障されれば,下記の発展の方向もあると思います。

-1.アジアのショッピングセンター
現在無数のショッピングセンターがタイに作られていますが,正直商品は高く,むしろデフレ化の日本の方が安くて良い商品が見つかるほどで,ショッピングセンターではあまり魅力的な商品はありません。しかし,世界中から安くて良いものを集積することができれば,物資が不足しがちな中東やドイツ,北欧,ヨーロッパ等からの観光客からの需要は多いと思います。

‐2.アジアの食の中心としての発展
タイでは安い屋台から高級レストランまで幅広い選択肢があります。安い屋台でもそれなりに美味しく,世界各国の料理を楽しむ事ができます。他のアセアン諸国ではタイほど選択肢はありません。ショッピングモールでも食堂街がレストランは比較的人が入っています。

中立地帯としての発展
昔タイが発展した時の様に周辺諸国で戦争がおこり,中立地帯として物資の供給,歓楽街としての発展の可能性があります。現在でも観光大国としてタイは人気があります。

‐4.介護大国としての発展
中国でもシンガポールでも高齢化が進んでいます。タイはアジアのハブとして介護ビジネスに向いています。理由としては
○食料自給率が高い
‐食料が安く手に入る
○周辺諸国から安い労働力
○医療技術の高さ
○アパートやコンド等が豊富
‐タイは周辺諸国に比べて住居費が安く済むのも魅力です。
○インフラ設備が比較的整っている
○ホスピタリティの高さ

国が分裂することが無くうまく体制を整える事ができたなら,介護大国として世界中から引退した人を引き付ける事ができるかもしれません。実際タイ北部では日本の引退した人が多く住む事で有名です。

時代のターニングポイント

将来の予測は難しいのですが産業構造もドラステックに変化する中,昔の政策が通用するかは微妙です。タイはアジアのデトロイトとして自動車産業が発展しましたが,これはベトナム戦争時のインフラ整備と中立地帯としての立地の良さに依存するものでした。これから普及すると言われている電気自動車は,圧倒的に部品点数が少なくてすむので,多くの部品が必要なくなると言われています。工場もアセアンが発足したおかげで,人件費が安い国に作ればあればどこでも良いことになります。
3DプリンターやAI,ロボット,工場の自動化が普及すると安い労働力に頼らずに工場さえ立てればどこの国でも同じ商品が作れます。そうすると原材料供給の競争になるでしょう。タイは肥沃な土地なので食料原材料の供給という点では非常に恵まれています。

あくまで政治的に安定して,物価や治安が安定して,企業活動に影響を及ぼす規則や制度が公平で外資を呼びやすいビジネス環境があることが前提ですが,地理的にアセアンのハブとなるロケーションを生かせればまだまだ発展の余地はかなりあると思います。


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