ベトナムの喪服は白色,日本の喪服も江戸時代までは白色

ベトナム
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ベトナムの喪服は白色

ベトナムの喪服は日本の様に黒い喪服ではなく,白装束に白鉢巻の姿です。初めて見た時は白装束のイメージ的に,何か応援しているのかと考えてしまいました。

-中国の葬儀でも喪服は白色

調べてみると,中国でも葬儀の時に白い服を着ているようです。
周の頃からの風習といわれており,”飾りの無い質素な服”が死者への弔哀を表すからだそうです。
また.「礼記」(中国,儒教の経書で五経の一つ)には白は色の根源であるという記述があります。
白が全ての色(物)の根源であるので,白がものの終末を送るのにふさわしい色,それを起源とした喪服も白になったという説があります。

-ベトナムの喪服が白なのは中国の影響の可能性
ベトナムでは,儒教・仏教・道教の「三教」が人びとの死生観や葬送儀礼に大きな影響を与えています。長い間中国の支配下にあったベトナムは,特にその影響が残っていると考えられます。

ベトナムでは土葬が一般的

ベトナム人の方に聞いたところ,ベトナムでは土葬が一般的で,家族が土地を買って確保して土葬するようです。お墓の管理も家族・親戚で行うようです。

最近では,土地の値段が上がってきたせいか,火葬にして,お寺で位牌を管理してもるう事も増えてきているようです。

ベトナムのお葬式は自宅でお祭りの様に

-お祭りの様ににぎやかなお葬式

ベトナムのお葬式はお寺や葬祭場でするのではなく,基本は自宅で行います。

楽隊のような人たちが大音響で太鼓、鐘 胡弓、笛等で演奏しています。

音楽がとにかく,やかましく,何かの祭りか勘違いすることもしばしばあります。

‐「来世への旅立ち」を祝う儀式なので盛大に
ベトナムにある輪廻転生の思想(死は終わりではなく,別の生に生まれ変わる最後の段階に過ぎない)で「新しい門出を祝う」儀式という意味があるようです。儀式は数日続きます。

日本の喪服も江戸時代までは白色だった

喪服は黒のイメージですが,日本の喪服は江戸時代までは白でした

日本の喪服はずっと黒色だと思い込んでいましたが,調べて見ると,日本の喪服は江戸時代までは白だったようです。



白を喪服に使用していたのは,中国の影響もあったと思われますが,古代から日本人は白を神霊なものの色として,神祀りの基本的な色として使用していたようです。
古代では,人は死ぬと神になるという考えがあり,死者の葬礼に関わる色が,神祀りと同じように白になっていたようです。

考えてみると,お墓参りに行くと無意識に先祖にお願い事をしてしまう事があります,これは、まるで神社で神様にお願い事をする事に似ています。

不平等条約改正の為に喪服が黒に

歴史を調べて見ると,日本で喪服が白から黒に変わった理由は,日本が欧米列強と結んだ不平等条約を改正するために,明治政府が推し進めた欧化政策にあります。

江戸時代末期にアメリカからペリーがやってきて、江戸幕府は欧米列強と「不平等条約」が結ばれました。
江戸幕府から明治政府に移り,不平等条約により,外国との貿易や外交で日本が不利益な状態になり,このままでは,日本が外国に植民地化されるかもしれないという危惧がありました。

不平等条約とは:具体的には,
○領事裁判権が日本側に無い→ 外国人を日本の法律で裁く事ができない
○関税自主権がない→ 関税率を自国できめられないため、外国の製品が安く入ってきて国内産業が大打撃

などです。

政府としては、その当時,不平等条約改正が急務となっていました。
しかし,明治政府と欧米列強との兵力の差は歴然で,武力による交渉は困難でした。そのため西欧諸国に,日本は文明国で撤廃しても良いという感情を抱かせるという方針を取りました。(結局は武力で日本が強い国だと認めさせて,不平等条約を撤廃しましたが)そのため,日本の古い習慣は欧化政策により,西洋化することとなりました。そのひとつが,黒い喪服です。
まずは皇室そして政府高官というように,上流階級の方から喪服を白から黒にあらためました。そして,次第に民間でも喪服が白から黒に変わっていくことになります。

歴史が浅い日本式葬祭と黒い喪服

初めてベトナムのお葬式を見た時は,喪服の色が白で全然日本のお葬式のイメージとかけ離れていると感じました。しかし,調べて見ると,むしろベトナムの方が,日本の昔ながらのお葬式に近いのではと考えさせられました。

日本の仏教は,元々国民統治の為に導入され制度化され,キリスト教の布教を防ぐために檀家制度ができ,国民に仏教が義務化されました。お寺も江戸時代では,今でいう役所と国民監視の役目を持っていました。

お寺が葬祭に深くかかわり制度化されて,庶民が行う現代の日本式葬祭,喪服は黒で,自葬ではなく,お墓が家単位になったのは,明治時代(1868年 – 1912年)から大正時代(1912年 – 1926年)に掛けてのここ150年ほどで,歴史が浅いものです。

明治時代の庶民の喪服は白が多く,徐々に庶民に黒色の喪服が浸透していった様です。

明治時代の白い喪服↑

150年程前には,喪服が白が多かったという事実は,正直驚いています。ずっと昔から喪服は黒だと思い込んでしました。

ベトナムと比べて,日本のお葬式は,先祖伝来のものと言うにはほど遠いもののようです。


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